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特に何かを目指していた訳でもないが、就職の為と大学を卒業した。就職活動の時、なぜかこの会社が気になった。他に行きたい会社も無かったからここしか受けなかったが、運良く受かった。
就職難と言われている今のご時世で、何か所か自分を雇ってくれる所を探すのが当たり前だが、俺はしなかった。かといって特に考えてはいなかった。ダメならバイト生活でもと思っていたからだ。
そしてあっという間に入社の日がきた。
「笹木智史君、これからよろしく頼むよ」
「…はい!」
会社の偉い人であろう人が新入社員一人一人に挨拶をした。そして、緊張している新入社員達にプリントが配られた。研修について書いてあった。会社でのマナーや名刺交換など、どの会社でもやりそうな事ばかり書いてあった。だがよく読むと一つおかしな事が書いてあった。
「……勇者の日?」
智史は思わず呟いた。その時
「すいません」
一人の男性が手を上げた。
「はい、どうぞ…」
さっきプリントを配ってくれた女性が答えた。
「この勇者の日とはなんですか?」
男が言うと
「勇者の日は研修の最後の日に行われます。内容については今は話せません、新入社員の行事です。会社からは勇者の日については教えません。その日になってからのお楽しみです。研修期間は約1ヶ月です。皆さんこれからよろしくお願いします。」
まったく質問に答えていなかった。それぞれが不安を抱える中入社式は終わった。
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