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「…あんたの名前は?」
俺は少女の名前を聞いた。
人間なら誰でも持っている名前を、彼女も持ってる筈の名前を
「永久」
「トワ…」
その響きはとても美しく…
だけど永久に孤独な様な…
まるで俺みたい。
とてもとても切ない言葉に聞こえた。
「似合わないでしょう?」
「どうして?」
俺はよく似合ってると思った。
だから気になって聞いてみた。
「死神さんにお迎えが来る私が…永久だなんて…笑っちゃう」
……そっか…
永久は死期が近い。
確かにその面では似合って無いかも知れない。
でも…
「やっぱり永久って名前はよく似合ってる。もし永久が死んじゃっても…永久は俺の心の中で永遠に生き続けるから」
「………」
永久は驚いた様にして俺を見た
「永遠に生きる人なんて居ないよ。誰かが想ってくれるなら、永久は永遠に生きてるよ。俺が永久を想う」
そこまで言って俺は自分が言った事が如何に恥ずかしかったかがよく分かった。
「も、もう1時間経つから…また明日な」
俺はそう言って駆け足で病室を後にした。
本当に…どうしちゃったんだよ…俺…
通りすがりの死に損ないを狩りながらそう思った。
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