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「た、助けてくれ!!まだ死にたく…」
「却下」
俺は鎌を振って魂を切り放す。
こんな奴ばっかりだ。
死ぬ間際まで…醜い。
何時からだろうか?
俺はただひたすらに魂をあの世に送り続けている。
そんな俺がある少女と出会ったのは本当に偶然だった。
場所は病院だった。
4階の一つの個室、俺はいつもの様に死に損ないの魂を狩りに向かった。
そう…いつもの様に…
でも彼女は他の奴とは違った。
「そろそろこの世とお別れの時間です。最後に言い残す事はありますか?」
扉を開けて開口一番に少女に向けてそう言った。
こう言ったら大抵の奴は慌てるか無視するかキレる。
しかし少女は違った。
「そうですか…」
驚く程無表情で小さく頷いた。
全てを諦めているかの様に…
待っていました、と言わんばかりに、満足げにも見えた。
俺は勢いよく鎌を振り上げ、少女の背中に向ける。
「………」
しかしやっぱり少女は無表情だった。
…調子が狂う。
一つ溜め息を吐いて俺は鎌を下ろし、少女に話し掛けた。
「死ぬ前に何か願いたい事とかはありますか?」
今迄問答無用で魂をあの世に送って来た俺がどうしてこんな事を聞いたのか…?
そんな事は俺にも分からない。
でも…
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