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何だか俺にはあの無表情が、今にも泣き出しそうな顔に見えたから…
少女は小さく首を傾げて少しの間考えていたが、
「別に…」
小さな声でそう言った。
このまま少女をあの世に送る事は簡単だった。
俺はその権利が与えられ、それが俺の仕事だったから。
でも何故か今はそんな気分にはなれなかった。
「3日間、時間を与えます。その間に考えておいて下さい」
そう言って俺は少女の言葉を待たずに次の死に損ないを狩る為に飛んで行った。
俺は更に魂をあの世に送る。
その行動は只の作業でしかなくて…
どんなに泣き付かれても、
どんなに怒り狂われても、
1秒だって悩む事無く鎌を振るった。
それはもう見事とも言える位に何の感情も沸いてこなかった。
しかし何故だろう…
あの少女は、この見事な無感情を出す事が出来ない。
その1秒すら悩んでしまう。
こんなのって初めてだ。
死神は準死人に対して差別してはならない。
別に決まりって訳では無い。
ただそれが当たり前なのだ。
誰が決めた訳でも無く、皆がそれを守り、誰も破る者はいなかった。
破る必要が無いから…
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