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長い長い…でも永遠に生きる…いや、永遠に時間が止まった死神の俺にはとっては…ほんの一瞬の沈黙だった。
夜が明け始めたその時、漸く少女が口を開いた。
「それじゃあ…友達になってくれませんか?」
ゆっくりと顔を上げて、輝きの無い瞳で俺を見てそう言った。
…理解…出来ない。
俺の表情から悟ったのか少女は、たどたどしく、詰まりながらも懸命に言葉を繋いだ。
「えっと…私生まれた時…からずっと病院に居るから…友達とか…1人も…居なくて…ずっと1人で…」
少女の表情に変化は無く、ただただ、口を動かしていた。
まるで人形の様な少女だったけど…言葉の一つ一つに籠っている感情を感じ取るには十分で…それが出来ない人は居ない位、悲しみと切なさが押し寄せて来た。
だから…
「分かった」
俺はそれ以外に何も言えなかった。
それ以外に何を言う?
断れる訳が無い。
俺は少女が横たわるベットの脇に座り少女の顔を見た。
「ありがとうございます」
そう言う少女の顔には当たり前の様に無表情だった。
この娘の笑顔が見たいと思った俺は…死神失格だな…
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