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それから俺は毎日少女の居る4階のその病室に通った。
時間は毎晩9時から10時までの1時間。
本当はこの1時間を割く時間を俺達死神には与えられていなかったけど、別に決まりは無いから良いか、という安易な考えの下の行動だった。
こんな2人だから1時間一言も喋らない時もあったけど…何だか隣に居るだけで安心出来た気がするんだ。
この1時間以外の23時間は冷酷に魂を狩り続けたが、この1時間だけはそんな事を忘れて、ただ純粋な気持ちでいる事が出来たんだ。
凄く不思議な気持ちだった。
自分に何かを感じる気持ちがあった事も不思議だった。
ある日の事。
少女が小さいけど、とても耳に残る…鈴の様な声で言った。
「そういえば…名前なんて言うの??」
名前…
俺の名前…?
そんなの…
「…無い」
だって俺はただの死神だから。
個ではないから。
名前なんて何の意味も無い。
俺達死神には必要無い。
今もそうだしこれからもそうだ
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