20205人が本棚に入れています
本棚に追加
「リリムがそんな辛そうな顔をすることを自分でしてしまっているっていうなら、それを自分でなんとかして欲しい。流石の俺でも怒るようなことでも、そのこと自体起こらなかったら、怒る必要はないぞ」
滅茶苦茶なことを言ってるかもしれない。
無理難題なことを言ってるかもしれない。
けど、俺はこんな感じにリリムとの関係を終わらせたくない。
こんな顔をして欲しくなんかない。
そして怒りたくも、悲しみたくもないのである。
「コー……スケ、貴方って人は何処まで……」
何処まで優しいのですか、とリリムは溢す。溢れる感情と共に、そんな言葉を、涙と共に。
そして、顔を上げる。
力強く、俺を見据えて。
「私、リリム・テルーラは今から最低なことをします。己の行動を、思いを捻じ曲げるような行為ですわ。
けど、きっとそれは間違ってない。間違いを正す為の……ある者からしたら暴挙とも裏切りとも思える一手を……私はこれからします」
だから……
だからどうか……
「これが終わったら、美希と三人で買い物にでも行きましょう」
ーーーーーー
ーーーー
ーー
そうしてあの夜リリムは何処かへと走り去り、程なくして、日常へと回帰する俺たちなのであった。
最初のコメントを投稿しよう!