第2章

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「い、嫌ですっ」 僕はあとずさりしながらその場から離れようとするが、先輩は僕の襟を掴む。 「弱虫だなあ、遥は」 面白がってる! その顔は絶対面白がってる! 「じゃあ先輩が立ってくださいよっ」 僕は先輩からデジカメを奪い取ろうとしたが、先輩はひらりとかわした。 「だめ、俺の愛用デジカメ『デジ亀子ちゃん』は指一本触れさせない」 デジカメにまで名前をつけてんのか。 「ほら、遥。 後三十秒」 先輩は襟首を掴んだまま、僕を事故現場まで引きずると花束の前に降ろした。 「また降霊して欲しい?」 その一言に僕は固まる。 ど、どっちも嫌だ~!! 「はい、後十秒」 先輩はカメラを構えた。 先輩の秒読みが始まる。 僕は仕方なくそこに立った。 「5、4、3、2、1…」 先輩は時計のアラームと同時にシャッターを切った。
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