第1章

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放課後。 僕はこっそり鞄を持ち、逃げる様に下駄箱からこっそり靴を取り出す。 「ど・こ・へ、行くんだ」 突然、ぐっ、と首根っこを掴まれ、足が宙に浮き、僕は危うく転びそうになった。 「あの、……今日はちょっと用事が」 なんとか誤魔化そうと、あいそ笑いをして首をつかまれたまま、声のした方に顔を向ける。 そこには憮然とした表情の男が立っていた。 やや長めの茶色の髪。細いフレームの眼鏡をかけ、黙ってればかなりイケメンなその人。 そう、この人こそ 理科室の主。 話題の主。 御室 春馬(ミムロ ハルマ)先輩。 「あのな、今日はおすすめの心霊話があるんだぞ。人生180度転換するような貴重な体験したくないか?」 僕を掴んだまま、春馬先輩は意地悪く笑うと僕に耳打ちする。 「あのあのっ、なんつーか今日は祐司に誘われてましてですね」 「祐司なら、『先輩、遥をよろしくお願いします』って帰ってったぞ。 いい友達をもったな。お前。 さあさあ、レッツゴー」 「祐司~~!裏切ったな~!!」 僕は鼻唄を歌う先輩に理科室へと引きずられながら叫んでいた。
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