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放課後。
僕はこっそり鞄を持ち、逃げる様に下駄箱からこっそり靴を取り出す。
「ど・こ・へ、行くんだ」
突然、ぐっ、と首根っこを掴まれ、足が宙に浮き、僕は危うく転びそうになった。
「あの、……今日はちょっと用事が」
なんとか誤魔化そうと、あいそ笑いをして首をつかまれたまま、声のした方に顔を向ける。
そこには憮然とした表情の男が立っていた。
やや長めの茶色の髪。細いフレームの眼鏡をかけ、黙ってればかなりイケメンなその人。
そう、この人こそ
理科室の主。
話題の主。
御室 春馬(ミムロ ハルマ)先輩。
「あのな、今日はおすすめの心霊話があるんだぞ。人生180度転換するような貴重な体験したくないか?」
僕を掴んだまま、春馬先輩は意地悪く笑うと僕に耳打ちする。
「あのあのっ、なんつーか今日は祐司に誘われてましてですね」
「祐司なら、『先輩、遥をよろしくお願いします』って帰ってったぞ。
いい友達をもったな。お前。
さあさあ、レッツゴー」
「祐司~~!裏切ったな~!!」
僕は鼻唄を歌う先輩に理科室へと引きずられながら叫んでいた。
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