第1章

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「で、今回はどんな話なんです?」 書類を分けながら僕が聞くと、春馬先輩はふふん、と鼻で笑う。 「お、のってきたじゃないか。お前も立派になったな」 春馬先輩はハンカチで涙をそっと拭う。 「違います」 僕は先輩に書類の束を押し付け返した。 「僕は早く帰りたいんですっ!」 「…そうだな」 先輩は、書類を受けとると椅子に腰かけた。 僕もついて椅子に座る。 「今回のは、消えるんだよ」 「消えるって…幽霊なら消えるでしょ?」 「いや、消えるのは幽霊じゃない。俺達の身体」 自分の頭を指差し、先輩は言う。 「はい?」 「その場所でな、写真を取ると、消えるんだよ。身体の一部が必ず。 こんな体験、めったにないよなあ。 さて、恐怖体験にレッツゴー♪」 先輩はカメラを取りだし、僕の方に向け、嬉しそうに言った。
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