修道院の少女

2/13
1746人が本棚に入れています
本棚に追加
/625ページ
街の外れに建つ、とある修道院。 ここではシスター(修道女)たちが神の教えを学びながら、雑用など様々な仕事をこなしていく。 そんな大人たちの中で十歳ぐらいの少女が一人、琥珀色で波の形をした長い髪を揺らしながら廊下を歩いていた。 少女はせんたく物が入った籠を両手で抱えていて、その量は前が見えないくらいあり、プリンのように震えながら今にも落ちそうになっている。 「あっ!」 案の定、少女がバランスを崩し前かがみになった途端、せんたく物が床へバラ撒かれながら広がってしまった。 少女が座り込み、慌ててせんたく物をかき集めると、そこへ――。 「まあ! マイったら、せんたく物が汚れちゃったじゃない! また洗い直さなきゃならないでしょ!!」 「ごっ、ごめんなさいっ!」 偶然通りがかったであろう。一人のシスターが眉をつり上げながら少女を見下ろして声を荒げて叱りつけ。少女はシスターの怒った顔を見て慌てて立ち上がり、頭を下げて謝った。 少女の名前は、マイ。 彼女が孤児として修道院に来たのは五歳ぐらいの頃で、それより前の記憶がなく、"マイ"という名も修道院の院長がつけてくれた。 マイはシスターたちの手伝いをしながら、この修道院に暮らしていた。
/625ページ

最初のコメントを投稿しよう!