退屈な日曜日

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 家に帰り、お風呂を出た頃。雨はすっかり上がっていた。お日さまがやっとビカビカし出す。 「……まだ三時か」  ベッドに倒れこみ、枕元の目覚まし時計を手にした。時間を確認すると乱暴に戻し、大きなクマのぬいぐるみを抱きしめる。大学生にもなって、と言われるかもしれないが、大学生だってぬいぐるみを抱きしめて寝たい日もある。 「はあ」  ため息をついて、無意識に携帯電話を開く。 「ん?」  新着メール、一件。カヨ、かな。でも登録していないアドレス。誰かアドレス変更したのかな、と思いつつメールを開いた。 「虹」  ただ一言、いや、一文字のメール。私はベッドから起き上がり、窓の外を見た。 ――虹。  携帯電話を開き、まだ登録していない、着信履歴に残る電話番号に発信する。 「もしもし? 虹、もう消えちゃったみたい」  なんだか泣きそうになりながら、相手に伝えた。
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