退屈な日曜日

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 森内は大学生なのだろうか? 働いている、という想像は全くできないからきっと学生だろう。  まだ鳴らない携帯電話。なんだか切ない。 「ねえ、ミチ聞いてる?」  カヨに腕を揺すられ、はっと我に返る。パスタをクルクルとフォークに巻きすぎて、げんこつサイズになっていた。到底一口では食べられない。フォークを慎重にパスタから外し、またまき直す。 「聞いてる聞いてる」  脇に置いた携帯電話をチラチラ気にしながら、今度は一口サイズのパスタを口に入れた。相変わらず美味しくもマズくもない、「ふつう」のパスタ。 「ミチまだ怒ってるの?」  カヨがぷくーっと頬を膨らませる。 「怒ってないよ」 「本当?」 「ほんと」 「なら良かった! じゃあ今度の日曜日、遊ぼう!」  コロコロ表情を変えるカヨ。小動物みたい。 「またドタキャンするでしょ?」 「今度は大丈夫! ……たぶん」  私はパスタをペロリと平らげ、腕を組む。 「わかった。こないだと同じ場所同じ時間に集合ね?」 「ラジャー」
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