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光は森の中をさ迷っていた。突然の爆発予告の為、柊とは逃げる方向が別々になってしまった。光は必死に柊を捜し続けた。しかし、元居た場所の近くに柊は見付からなかった怯えて遠くに逃げてしまったのだろう。 『柊…。』 光はとても陽気な男の子だった。バンドで歳は1番下であったが。ワックスで無造作にセットされた襟足の長いオレンジ色の髪型。睫毛が自然にカールされた切れ長の瞳は周りがそれを忘れるぐらい。大人びていた。その瞳が今は不安に雲っている。 不意に後方から草をかきわける音がした。 『バンドの誰かと出会えたのでは…』 そぉ思い振り向くとそこには綺麗な顔の少年が立っていた。麗だ…。 少年も光の存在を確認したらしい。 二人はその場で向き合ったまま静止していた。 『もしやこいつが暗殺者なのか…。』 光は恐怖にかられた。しかし、その心配をよそに少年は両手を上に上げ。武器を持っていない事。敵意が無い事を光に示した。 光は安心して麗に笑顔を向けた。そして歩み寄ろうとした次の瞬間。 大きな銃声が響き渡った。 光は目の前の光景を疑った。 綺麗に調った麗の顔の少し上。頭部を右から左に銃弾が貫通したのだ。弾の勢いで麗の左の頭がふき飛んだ。そして麗の体はそのままそこに崩れ落ちた。 激しい嘔吐感が光を包んだ。さっき知り合ったばかりとは言え、目の前で人が殺されたのだから仕方無い。 それでも光の体は反射的に危険を感じたのかとっさにそこから逃げ出そうした。 遠くから狙撃されたらしく。相手の姿は確認出来ない。 再び森の中に銃声が響いた。 とっさの判断で致命傷は避けられたものの光の左足のフトモモを銃弾が通過した。撃たれた場所から血液が噴き出した。 『痛い。しかし逃げなければ…。』 必死にその場を逃げようとした光に容赦無く銃弾が遅いかかる。今度は右肩と左脇の辺りを弾が通過した。 しかし、それ以上の追撃はなかった。暗殺者の視界からうまい事逃げられたのだろう。しかし、体の三ヶ所を弾が通過しただけあって体が重い。それでも光は必死に森の中を駆け抜けた。
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