二日目

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充は森を抜け出し民家に来ていた。一晩中歩き回ったおかげでここまで幾つもの宝箱を開けたが、見付かったのは人を殺す道具で、このゲームから脱出するヒントのような道具は一つも見当たらなかった。そぉ充はこの馬鹿馬鹿しいゲームから抜け出そうと考えているのだ。 『試作』などと言う不完全な物には必ず穴があるハズだ。充は忍びこんだ民家でコーヒーを飲みながら必死に頭の回転を早くしていた。 『美空の為にもバンドメンバーの為にもリーダーとしてやるべき事をやらなければならない。』 充は責任感の強い男だった。バンドメンバーが困った時もいつも駆け付けてくれる。言葉遣いは毒舌で厳しい事をよく言うが、何だかんだメンバーの事を考えてくれていた。頭の回転も早かった。いつも思いもよらない発想。作戦で葉達を楽しませてくれた。 ガサッ。物音がした。部屋の外に誰かがいる。とっさに隠れて窓から外を見ると、外には影斗が立っていた。こちらの様子には気付いていないようだ。 右手に銃を握りしめていた。 『やはり暗殺者はあいつなのが…?』 そんな不安感が充を包んでいる間に影斗はどこかに消えてしまった。 『ふぅ~。』 充はとりあえず肩を下ろした。
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