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『夢を語る事に本当の自由などない
僕等はどこかで未来を気にしている…』
部屋の中を飛び交う音符。その中心に葉(よう)は立っている。曲に合わせて揺れる左耳の拡張されたピアスが音の振動を伝えてくる。意識が揺れる…
『葉?ちゃんと集中してる?』
突然演奏を止めて四本の弦が貼られた楽器を肩からかけている少女が唐突に葉に言った。
『悪いな。ちょっと考え事してて。』
彼女の方を見ずに言った為、少し少女の機嫌を損ねたようだ。
少女の名前は『雫(しずく)』。長く伸びた髪の毛は金色に染められている。
少し釣り上がった目が気の強い印象を与えがちだが、綺麗に整った顔立ちは昔の貴族を思わせる。
彼女と葉は家が近いと言う事があり、小さい頃からの幼なじみだ。小さい頃から喧嘩もよくしたが価値観も合い。今では一緒にバンドグループを組んでいる。
Vo(ボーカル)葉・G(ギター)充(みつる)・B(ベース)雫・Ky(キーボード)柊(ひいらぎ)・Dr(ドラム)光(ひかり)の五人が葉達のバンドグループのメンバー構成だ。
『葉と雫は本当に仕方が無いなぁ。よくそんな毎日喧嘩できるよ。』
バンドグループのリーダーでもある、充が呆れた顔の中にも笑みを含んだ顔で言った。
柊と光がその言葉を聞いて笑いかけてきた。葉も雫もそれにつられて笑った。今日はバンドグループでスタジオを貸し切っての練習だった。
葉はこのバンドメンバーがとてつもなく好きだった。
『永遠にこの時間が続けば…』
心からそぉ思った。
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