昼間

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雫と葉は静かに森の中を進んでいた。 森は静かだった。歩き続けるうちにいくつかの宝箱を見付けた。その中には手榴弾や小刀が入っていた。葉は念の為、雫に小刀を渡しておいた。葉と雫はしばし無言だった。二人とも体力的にも精神的にも話す気力を失っていた。 今から2時間前。何処からともかく機械的な声が聞こえてきた。それは麗と言う少年と光の死を告げる放送であった。どうやらこの島にはスピーカーが張り巡らされているようだ。 『えっ。光が…。』 雫はその場でたたずんでいた。光とのバンド活動の思い出が蘇ったのだろう。その瞳からは涙が流れ落ちた。葉は雫を抱きしめた。 『光の事は一生忘れないでいよう…。そしたらいつまでも光は俺達の心中で生き続けるよ…。』 それ以上葉は雫に何も言えなかった。 それからずっと歩き続けている。 その時、スピーカーから2時間前とは別の音が聞こえてきた。 『これは…。このギターの音は。充だ。』 ずっと充の音を聞いている葉達にとって、他の人と充のギターを聞き分けるぐらい簡単な事だった。どぉやら何かの曲を弾いているようだ。 『葉、ちゃんと聞いて。この曲は…』 充のギターの音は止まってしまった。しかし、充の意図は葉にも理解できた。 『海の上の丘だ。』 それが今、充が弾いていた曲の曲名だった。 葉と雫は先程より少し早歩きで海の方面に向かった。
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