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コンコン…
僕は、深呼吸をしてから幸音さんの楽屋のドアをノックした。
「歩夢。もう、挨拶は12人目なんだから慣れなさいよ…」
「だって、緊急するんですもん…」
そんな会話をよそに、幸音さんの明るい声が聞こえてきた。
しかし、開いたドアに立っていたのは大柄な男の人だった。
「あ、あの…。藍沢さんに挨拶をしにきたんですが…」
まるで、“ヤ”のつく仕事をしているような顔つきにビクビクしながら、口を開くとにこやかな笑顔を見せてくれた。
「これはこれは…、ご丁寧に」
笑顔を見てホッと安心していると部屋の奥から、可愛らしい声が響いた。
「ウサピョン。誰ぇ~?」
(ウ、ウサピョン!?)
「熊谷歩夢君が、挨拶に来てくれたぞ」
「うっそぉ!!」
大柄のおじさんの言葉に、幸音さんは飛んでくるように僕と下月さんの前に来た。
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