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私は、いつの間にか部屋に入っていた『竹下歩美変身隊(メイクさんとコ―ディネ―タ―さん)』に囲まれて、社長室の奥の部屋に連れて行かれた。
そして、学ランを着せられ、黒髪でショートカットのカツラをかぶせられた。
最後に、眼鏡をコンタクトに替えて『熊谷歩夢』の完成だ。
そう、人気メンズモデル熊谷歩夢の秘密は正体が女と言うことだ。(読者さんは気づいていると思うけど…)
社長室に戻ると、鈴ちゃんが怪訝な顔をした。
社長は、楽しそうに笑っている。
「いや~。さすがだね~。『竹下歩美変身隊』は。おさげに眼鏡で地味な歩美ちゃんとは、とても思えないよ」
社長…、今サラリと酷い事言いました…。
「あの…、なんで学ラン…?」
「そうよ!!べつに、私服でもいいでしょう?」
私の質問に鈴ちゃんも賛同してくれた。
「実はね、『歩夢君』のドラマ出演が決まったんだよ」
ドラマ…?
ドラマって、あのテレビの!?
「ええっ!!わ…(じゃなくて)僕が、ドラマ!?」
「なっ!!」
私と鈴ちゃんは、驚きに開いた口が塞がらない。
逆に、社長はニコニコとその様子を眺めている。
「そうなんだ。君は、確か役者に興味があったよね?男としてで申し訳ないんだが…」
「ありがとうございます!!」
私は、社長の言葉を遮り、飛び上がった。
「嬉しいです!!」
「ハッハッハッ。それは、良かった」
私と社長は、手を取り合い互いに喜んでいる。
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