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桜は俺の友達の妹で、独り暮らしの俺の身をあんじて、こうして毎朝やって来てくれる。
その桜が言っていた俺の朝の日課、それは筋トレだ。
俺の親父―――衛宮切嗣が教えてくれたことである。
『いいかい、士郎。やめたくなったらいつでもやめていい。でも、これは君の体や心を強くしてくれるだろう』
親父はそう言っていた。だから親父が死んでからも、サボることなく続けてきた。
でも、親父の言っていたことは少し外れていた。
確かに、筋トレは俺の体を少しはたくましくしてくれた。でもいつまでたっても、心はガラスのままだった。
信じられない様なことが起こると、3日は部屋から出られなくなる。部屋から出ても5日は他人を信じられない。
この心を例えるなら、小学生の工作だ。ちょっと触っただけで壊れてしまう。
だから今までなにも起きないよう、静かに生きてきた。そしてこれからもそのつもりだ。
「…99、100っと。よし、いつも通りだ。朝飯食べて学校に行こう」
この時、道場を後にする俺は知るよしもなかった。あんな非現実的なことが起こるなんて…
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