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その後、桜と共に朝食を済ませて学校へ向かった。
いつものように先生がかわるがわる教室を訪れ、いつものように授業をしていく。
今日も何一つ変わることなく、放課後を迎えた。
今は部活にも所属していないので、すぐに帰るつもりだったが、生徒会長―――いや、俺の友達、柳洞一成に仕事を頼まれていた。
仕事と言っても、ストーブの修理である。冬が近付いているからだが、家でも学校でもストーブ修理だ。
別に嫌ではないし、むしろ好きなほうだ。
機械をいじっていると頭がすっきりして、中の構造が手にとるように分かる。だから、何処が悪いのかだってすぐに分かるのだ。
この力を親父は魔法だと言っていたけど、俺は絶対に認めたくなかった。それを認めてしまったら、世界から外されてしまうような気がしたから。
「そうなったら絶対立ち直れないよな…」
修理を終えたストーブを見つめながら、呟いていた。
生徒会室を出て、廊下の窓の外を見ると、もう空は黒で塗り潰されていた。結構時間が経ってしまっていたらしい。
一度教室に戻って荷物を取り、急いで校門から出た。
そしてそこで見てしまった。
非現実を。
決めた。今度一成に会ったら、殴ろう。
こんな時間まで残してくれた一成を。
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