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生徒会室に戻ろう。もう一回やり直そう。
これは夢だ。あぁそうだ、きっとストーブの修理中に寝てしまったに違いない。
そう頭で考えていながらも、俺は廊下を走っている。
「はぁ…はぁ…夢だよ…そう、夢だ」
息をきらしながら、一人で呟いたはずだった。
なのに…
「夢じゃねぇよ」
えっ…
次の瞬間、自分の胸を、長い槍が貫いていた。
気が遠くなっていく。死ぬのかもしれない。いや、間違いなく死ぬだろう。
そして、テレビの電源が切れるように、意識を失った。
∞
「うっ…、あ…れ…?」
目が覚めると天井が見えた。
見慣れた自分の部屋の天井が。
しかもちゃんと布団の中にいるではないか。
「ははっ…夢に決まってるよな………よかった」
息と声が一緒に漏れる。
ストーブを修理した後、すぐ帰って来て、疲れて眠ってしまったんだ。
記憶はないが、そう考えるしかないだろう。
だいたい、長い槍を持った大男と、短剣を両手に持った大男が、校庭で戦っているわけがない。
その上近くには、学校一の美女とうたわれる、遠坂凛までもが立っていた。
笑ってしまう。これが夢ではなくて、何だと言うのだろう。
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