ユメトゲンジツ

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重たい雨の中、私は急ぎ足。 白いレインブーツが水溜まりで得意気。 フレアスカートはふわふわと跳ね回り、まるで私の気持ちみたい。 雨は憂鬱だけど、この格好は、イケテる! 私は嬉しくてたまらなくなってきた。 可愛いなぁ、この格好! そんで、こんなに似合ってる私も可愛い!! 雨と一緒に私は笑う。 なんも、現実逃避する事ないじゃん!! 触れない夢より、実感出来る現実万歳!! そして、それを教えてくれた・・・。 パシャパシャパシャ、パシャ、パシャ、パシャ・・・。 「着いた。」 私は、現実の素晴らさを教えてくれた彼の家の前。 ドキドキしながらチャイムを鳴らし、反応を待つ。 カチ。 インターホンには反応があったのに、声が聞こえない。 それはそのはず。 ほら、雨音より激しく、玄関に駆けつける音。 開かれた扉。 「マコ・・・。」 いつもはカッチリきめてる彼。 でも、今は違う。 ありえないぐらいの寝癖に、ありえないぐらい昔の眼鏡。 中学の時のジャージを着ている彼に、私はたまらなく愛しさを感じた。
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