そこに時間はあった

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植え込みと植え込みの間に小さな隙間があった。 隙間というかくぼみというか…。とても不思議なくぼみだった。そこは夜より暗く、吸い込まれたらどろどろに溶かされてしまうような感じさえする。 僕は中学生の頃、友人と登山をしたことがある。山の上の夜は本当に暗く、前に手を伸ばせばヒジより先が闇に溶けて見えなかった。そのときの何とも言えない怖さを思い出させた。しかし同時に、その世界を見たいとも思った。あのとき山で腕を闇に溶かしたって何ともなかった。怖いもの見たさとでもいうのだろうか。何かがありそうな気がしてならなかった。 僕はしばらく隙間を見ているうち、我に返ってバカらしくなった。
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