ちょんまげセンター街

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2091年。21世紀も終わりにさしかかろうとしていた。渋谷センター街は、古い建物を取り壊し、テレビなどでよく見る未来都市に姿を変えた。 クラゲのような形をしたビルの展望レストラン。ファストフードやコンビニなどの店は立体ホログラムの店員が定型的な言葉を客に投げ掛けていた。 その中でやたらとパステルカラーを用いた服屋には、およそ店のその風貌に似付かわしくない商品がひしめきあっている。徳川家の紋章や、三つ巴といったサムライのファッションが、今渋谷を中心に大流行しているのだ。 渋谷を歩く若者のほとんどは、和服にちょんまげ姿。中には甲冑を身にまとった若者すらいる。肌を真っ黒に焼いたギャル男たちに多く見受けられる姿で、金髪にちょんまげということも今やめずらしい光景ではない。
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