殺人

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……殺ってしまった。 雪が降り積もる夜。 血に濡れた両手を見ながらあわあわと震えている人物がいた。 服もズボンも鮮血に染められ、むせ返るような悪臭が脳をおかしくさせてゆく。 この人物はたった今、人を殺したのだ。 死体の後頭部には鈍器で殴られた跡があり、そこから白子のようなものが見え隠れしている。 「こんなつもりじゃなかった……」 この人物には罪悪感というものがあった。 罪を償う気持ちもあった。 ただ、悪魔の誘惑に勝てなかったのだ。 彼はすぐにこう思う…… 早く隠そう――と。
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