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その話を聞いてめんどくさそうな表情をジャックは浮かべた。
だがトムが拳をつくってるのを見て、即座に舞台に向かって歩き出した。
その足取りはフラフラと危なっかしい。
「ジャックどうした。フラフラだぞ?」
「お前があんな座り方させるからだ。足が痺れて上手く歩けない」
「ジャック。口のきき方に気をつけろ。俺の事は隊長かトム様と呼べ」
「いやだ。それよりも早く舞台にあがってこいよ」
トムの申し出を断り、早く来るように催促をする。
「おおすまない。足はもう大丈夫なのか?」
「まだちょっと痺れてるけど大丈夫だろ」
トムとの会話はそこで一端途切れ、二人とも武器を構える。
トムの武器は先が三つに分かれている槍だ。
「さぁ始めるかジャックよ」
「ああ」
「いっけートムさん。そんな奴ボコボコにしちゃってください」
二人が戦おうとしたその時、舞台のすぐそばからそんな声が聞こえてくる。
発声者はアイリだ。
「ジャックの事がよほど嫌いらしいな」
その言葉を耳にしたトムは、苦笑いをしながらジャックに話しかける。
「そんなのどうでもいいさ」
本当に気にしていないような、感情のこもっていない声。
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