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先ほどの攻撃はなんとか避けられた。しかし、謎の攻撃はまだまだ続く。
長い雑草の間から赤い球体状のものが飛び出してくる。
シルヴィアはその気配を察知し、一瞬にしてそちらに振りかえると、短剣を一振り。
丸い物体が横真っ二つに分かれ、中身を撒き散らしながら、それでも勢いは失われない。
「くそっ!!」
目前まで迫ってきたそれを、彼は後ろに転がることにより避ける。
地面に体が触れた途端、赤い物体から零れ落ちた雫がシルヴィアの頬の垂れる。
ヌルッとしていて生暖かい。手に取って舐めてみると鉄の味がした。
「これは、血か?」
地面に背中を着けていた状態から起き上がり、トムとの距離を測りながら、地面に片膝を着いた。
もう一度、赤い液体を見てみる。
やはり、血。
さっきから襲って来ていた物体は、血だったのだ。それも、おそらくはトムの血だ。
「中々の洞察力だ。もう気付くとはな。そう、これが俺の能力だ。魔法を使う事は出来ないが、俺はこの能力を魔力を使って使用できる。自分の血を自在に操る能力をな」
トムの肩から途方もなく出続けていた血が止まった。
「でもな、この能力は。自分が瀕死の状況に追い込まれなきゃ、使えないって欠点もある。だから、今まで使わなかったわけだがな」
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