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「ははは!どうしたジャック。ボーッとしてても、この男は助からないぞ?」
ジャックはトムを見る。息をしているかどうかすら危うい。
彼の心に焦りが生まれる。
どうすればあいつを倒せるのか。
否。
殺す事ができるのか。
「くそっ!」
考えがまとまらないまま、ジャックは走り出した。焦りは思考を鈍らせる。
彼はその事にも気付いていないみたいだ。
地面に転がっていた木の枝と、小石をいくつか掴んでシルヴィアに突撃する。
「ははっ。そんな馬鹿正直に突っ込んできてもいいのか?」
シルヴィアは右手に持っていた剣を、突撃してきているジャックに向けて突きだす。
空気が切り裂く音が聞こえてきたと思った瞬間、ジャックの頬の真横を通り過ぎて行った。
「ちっ!」
あまりにも早い速度に、ジャックは反応すら出来なかった。
その事に腹を立てたのか、彼は左手に持っている石を全て投げつける。
それはシルヴィアの顔面へと向けて、まるで雨のように発射される。
だが、しょせんは小石。いくつ集まっても、それほどの破壊力は望めない。
シルヴィアは左手で顔に当たるであろういくつかの石を弾き飛ばし、すぐさまジャックに視線を戻す。
だが、さっきまで前方にいたはずの彼はその場にいなかった。
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