警察

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定休日なのに何人か従業員を集めて店を開けてくれた。 「いや~何も疚しいことないのにパクられるかと思ったよ。」 なんて、真っ赤な嘘。 みんな笑い飛ばしてくれた。 千里は優希に実年齢を話していて、SHINEの従業員はみんな千里が16歳だということを知っていたので、その日みんなは千里を心配していた。 本当は、私だって同じ年でバレたら大変なんだよ…。 もちろん言えるはずもなく、優希が私の席に来た。 「お前、本当に俺の一個下?本当に大丈夫なの?」 喉まで出掛かる言葉。 だけど私は居場所を失すことを極端に恐れすぎていて、年齢を知られることで全てが消えてしまう気がしてたんだ。 「え、何言ってるの?私は19だし優希の一個下だよ。それに千里とタメなら今頃まだ警察にいるさ。」 優希はずっと疑っていた。 私が千里と同じ年なのではないかと。 否定する私の言葉に納得しながら優希が私にくれた言葉。 「里奈は、材料もないのにカレーを作ろうとしてるんだよ。ただ漠然とした夢のためにずっと抱いてきた夢を蹴って、手元には玉ねぎしかないのに今カレーを作ろうと火にかけている。つまり、物事には準備が必要だ。カレーを作るためにはまず材料を買わなきゃいけない。それから切ったり炒めたりしなきゃいけない。まぁ、この言葉が里奈にどうやって伝わるかわからない。だけどこの原理は忘れないでいてほしい。」
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