夜の世界

3/5
2599人が本棚に入れています
本棚に追加
/165ページ
【日給20,000円以上。制服貸出OK。体験入店可能。お店からのコメント:アットホームな店内でみんなが仲良く働いています。ぜひお気軽にお問い合わせ下さい。】 お店のドアを開ける。 「あの…。」 恐る恐る中へ入ってみる。 中には中年くらいの男の人が一人、不思議な顔でこちらを見ていた。 そこは、高級感のあまりないクラブだった。 「いきなりで申し訳ないのですが、こちらのお店の求人広告を見て、体験入店してみたいなと思って来ました。」 今思えばすごく非常識だったと思う。 一応履歴書を書いて、 全くの未経験なのでお酒の作り方や灰皿の交換の仕方といった基本的な動作と、 そこのお店特有のしきたりというか、自らがボーイの役目も務めるといった、今思えばスナックのような内容を一通り教えてもらった。 店長の好意により、押し掛けて行ったのにも拘わらず、私たちは体験入店させてもらえることになった。 初めて着るドレス。 初めて持つ自分の名刺。 と言っても、空名刺にサインペンで自分の源氏名を書くだけ。 こういうお店の女の子って、 冷たいし感じ悪い。 そう思った。 いよいよ、開店の時間。
/165ページ

最初のコメントを投稿しよう!