序章。

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…遥か昔。 魔族と人間が共存する平和な国に、それはそれは美しいお姫様がおりました。 優しい王様や王女様、頼もしい家来達に囲まれて、お姫様はすくすくと逞しく……………コホン。 可憐で気品漂う、素晴らしい淑女へと成長を遂げました。 ーしかし、ある日のコト‥。 その美貌を妬んだ悪い魔女によって、動物達も足を踏み入れない、深く暗い『魔の森』…その中央にそびえ立つ高い塔の中に、お姫様は幽閉されてしまったのでした。 風の音や小鳥の囀り、木々の歌声すら聞こえない、漆黒を纏った森の中。 ただ一つ聞こえてくるのは、毎日のように泣き続ける、お姫様の啜り泣く声だけ。 けれど、不安と寂しさに押し潰されそうになりながらも、お姫様は何日も何日も孤独に耐え、決して希望を棄てるコトはありません。 …そう、なぜならきっと。 ただ一人の運命の王子様が、いつか助けに来てくれると信じているからー…
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