-儀式-

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むわっとした潮風が僕の顔を包んでいた。 黄色い日差しに目を開けていられない。 ルアーを巻き釣り竿を握る腕の肌をじりじりと灼く。でも、それがなんだか心地いい。 寄せては返す潮騒の音がねむたかった。 僕の爪先を時折濡らす潮水が、冷たいくせに何だか柔らかい。 海の水も昼寝をしている時間なのかもしれない。 海辺の午後、僕の周りで、時間はひどくゆっくり流れていた。
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