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長い長い、3年間を埋めるような抱擁からお互いを解放し、ようやく立ち上がり、気持ちの良い空気を吸って伸びをする。
そして広い屋上を歩き出す。
3年前、命の大切さを知ったこの場所で、近い未来の話しをしながら。
「ねぇ、この夏こそ、ここで花火をしようか」
「うん、佐緒里さんも、直人さんも呼ぼうね」
「嫌がっても、直人さんに歌ってもらおう」
「今やプロだよ?贅沢だぁ」
二人で大口を開けて笑う。
「りんちゃんと海くんも呼ぼう」
「うわぁ懐かしい!まだここに来ているの?」
「たまにね。海くんは宿題の読書感想文が書けなくて泣きついてくる。りんちゃんには妹が出来たんだ」
時の流れをまた感じる。
あの子たちは私を覚えてくれているだろうか?
またアンパンマンのイラストを描いてこようか。小さな妹にもあげたい。
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