打ち抜く衝撃

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「ねぇママ。浴衣ってどこにしまってるか分かる?」 「浴衣?お祭りに行くの?」 「うん、明日。それと、あのさ、着付けしてくれる?」 遠慮がちに頼んでみる。 帯の結び方をネットや雑誌で調べてみたけれど、どうやら自分一人では上手く出来そうにない。 中学までは毎年母に着せてもらっていた。だけど、今はとても頼みずらい。 母はソファから立ち上がるとクロゼットのある部屋に行き、棚の奥の方から収納箱を取り出し、蓋をあけるとそれは綺麗に折りたたまれていた。 「懐かしいね。これ着て花火大会にみんなで行ったわね」 母の目が穏やかに思い出を語る。そんなことは久しぶりだ。 「でも美桜。これ裾が短くなっているかもよ。ちょっと羽織ってごらん」 言われたままに服の上から羽織ると、白地にアサガオの花が広がる。 しかしそれはくるぶしのかなり上あたりで止まった。 「あぁー…」  
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