息苦しい日常

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「おはよー、美桜ー!聞いてー」 教室に着くと席に座るよりも前に、友達の麻耶に話しかけられる。 麻耶はクラスでも派手目の女の子だ。明るい性格でイイ奴なのだが、先生に一発で注意、指導されるような髪型や、メイクをしてくる。 背中にかかるほど長く伸びたストレートの黒髪を垂らしたままで、化粧は薄くする程度の私はいつも「もっとちゃんとすればいいのに」とダメ出しを受ける。 “ちゃんと”の意味が先生とはだいぶ違うけれど。 「なにー?なんかあった?」 私はさして興味がなさ気に聞き返す。 だけどそんなことお構いなしに麻耶は自分の言いたいことを言う。 「昨日の夜さ、私にメールとか電話した?たぶん繋がらなかったと思うんだけど」 「えっと、昨日はしてないよ。なんで?落としたの?」 「違うのー!親に取り上げられたの!」 怒り顔で訴える。 「へーそりゃまた、災難な…」 「災難レベルじゃないよ!携帯ないとかマジ死にそう!人生狂うよ。あーマジ最悪あの親!」  
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