息苦しい日常

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「あ、朱音来た!ねぇねぇ、聞いてー!!」 教室の入り口にもう一人の友達を見つけると走って行く。きっと同じ話を繰り返すのだろう。しばらくすると 「えー!マジ!?ありえない!ヒドイね!」 朱音の口から、私からは得られなかった共感をやっともらい、麻耶は満足げに盛り上がる。 朱音もなにかあったのだろうか。同じように親の悪口を言い始めた。 そんな二人を遠くから眺め、ため息が無意識に一つこぼれる。 荷物を机の中やロッカーにしまい、やることもなくなったのでポケットから携帯を取り出す。 別にこれといって見るものもないのだが、暇になるとこうしてしまう。 隣の席の男子も無表情で画面に集中している。これは現代人のクセというか、病気かもしれない。 しかしそんな姿をわざと恨めしそうにジーっと見つめてくる視線に気づく。 麻耶だ。 なんとなく、ヤバイ。と直感して急いで隠す。 すると案の定近くに寄って泣きついてきた。  
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