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私は離れられて正直ホッとした。あの話題にはどうしても入れない。
善人なわけじゃない。
愚痴よりももっと酷いことが心の中では渦巻いている。
それが露見するのが怖い。
口に出すことが怖い。
簡単に、正直にウザいだとか最低だとか言えるみんなを、うらやましく思う自分がいる。
だってそんなこと口にしたら全てが壊れそうだ。
口先だけではない、反抗とかそんなものでもない。
心の奥にある本音。
認めてしまえば、なぜ自分がこんなにも頑張っているのかが分からなくなる。
あんな人たちのために…!
麻耶は放課後になっても念を押してきた。
「なんならアリバイも作るから任せて」
そんな彼女はいつもよりもたくましく見えた。きっと頼めば上手くやってくれるのだろう。
だけど本当はそんな必要なんてない。
両親は一切私に干渉なんてしていないのだ。それどころか、私の存在がちゃんと目に入っているのかも疑わしい。
家の中に一緒に居るだけ。
挨拶をするだけ。
必要なのは父と母の仲を取り持つときだけだ。
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