息苦しい日常

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「よかったよ~。チケット一枚売れたぁ。 あ、いや、美桜と遊ぶの久しぶりだから楽しみ。なんならアリバイいくつか考えるし手を回すけど」 最初の一言が気になったが、そのまま流した。 どうせそんなことだろうと思った。チケットを売れと男に頼まれたのだろう。 しかしアリバイ作りとは、どんな巧みな技を使うのだろうか。興味はあったが断った。 一度帰宅するのも気まずいので私服を持参して、学校から近い麻耶の家におじゃまして着替えと化粧直しをさせてもらう約束をした。 「運命の出逢いの日なんだから気合い入れてくよっ!」   握り拳を作る彼女に付き合いで「おー」と合わせた。 当日になり、またパンをかじって家を出るとき、今日は夜に出かけると母に言ったものの、反応は薄かった。 また睡眠不足だったのだろう。目の下にクマがあった。
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