息苦しい日常

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時間になるとみんながステージ付近に集まりさらに密集度は高くなり、熱気もさらに上昇した。 先ほどのスキンヘッドの人のバンドが一番に登場し、会場を盛り上げていく。 それなりにファンもいるようで周りからは声援が上がった。 オリジナル曲が中心で、知っている曲はないのだが意外にも彼は甘い声で、聞きやすい。 てっきり叫ぶような歌を歌うと勝手に思い込んでいたのだが、バラード系も上手だった。 「いい声だね!」 歓声でかき消されないように声を張り上げて隣の麻耶に、素直な感想を伝えると 「惚れるなよ!」 と釘を刺された。 いや、それはない。 きっと彼がいい人であろうとそれはない。 私は全体を包む空気がもっと柔らかくて穏やかな人がタイプなのだ。 スキンヘッドさんはなんの取り合いもなく麻耶に譲ろう。
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