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「かわいいんだろうな、会いたいな。そうだ私の友達も呼んでいい?」
「あの時の?」
「そう。麻耶と朱音。でもあの二人は出逢いがないと来ないかもな~」
「じゃあ俺の友達も呼ぼうか」
樹の提案に賛成する。
「すごい大人数だね」
「本当だな」
「楽しみだね」
「うん」
自然に触れ合った指先が繋がれる。
これだけは、過ぎ去った年月を感じることなく一番落ち着く場所へと収まる。
ようやく私はここに帰りついた。
視線が絡まると、二人で声を出して笑い合った。
思っていることがきっと同じだったから。
「…でも今はここで、二人だけ」
目を閉じるとあの日の夜空に咲く大輪の花が見えた。
また行こう、今年もあの蝶々の浴衣を着て、あなたと一緒に。
今年も、夏が始まる。
―END―
咲良色 ーサクライロー
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