息苦しい日常

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笑顔で返される。 私は人の表情から本心を探ってしまう。 どうせそんなこと言ったって本当は嫌だと思っているくせに、などと少々否定的に考えてしまうのだがこの人にはそれが出来ない。 そんな嫌な考えは似合わない。 そんな風に思って欲しくない。 「おせっかいじゃなくて面倒見がいいんでしょ」 「ウマイ言い換えだね。ま、これは職業病みたいなものだから仕方ないんだ」   職業病。 なんの仕事か気になった。 だけど聞く前に彼の方が先に口を開く。 「君は高校生?大人っぽいね。もう少し上に見えた」 「老けてるってよく言われる。 外見以上に、これくらいでへばってるくらいだから本当にやばいかも。 久しぶりの夜遊びだったから最初にはしゃぎ過ぎたみたい」 いつの間にか最初の警戒も、初対面の人見知りも忘れて私はかなり打ち解けた話し方をしていた。 「イマドキの女子高生のくせに」 「イマドキの女子高生がみんな遊びまくってると思ったら大間違いだよ?」 わざと口を尖らすと、彼はまた声をあげて笑う。 些細なことのはずなのに、こちらまで楽しくなってくる。
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