息苦しい日常

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「美桜ー。大丈夫ー?」 彼が消えていった方向から今度は麻耶と朱音が現れる。 すぐに駆け寄ってくると麻耶は呆れ顔で非難する。 「まったく、あんたひ弱だねぇ。真夏の朝礼で真っ先に倒れるタイプだわ」 いつも通りのたいして嫌味も感じないイヤミ。友達だから伝わるニュアンスだ。 だけどこちらが言い返してこないので不思議がり顔を覗き込んでくる。 「美桜? あれ、あんたなに持ってるの?」 「…え?」 我に返りいつの間にか握りしめていたカードに気づく。 立ち去る時に無造作に押し付けられて受け取っていた名刺だ。 「おいで」と言われてもホストクラブなんて怖くて行けない、と思いながらそのカードを見る。 「………なにこれ」 あまりに予想外な書式に唖然とする。 そこには彼のフルネームではなく下の名前だけが大きく刻まれていた。 だけど店名のかわりに書かれていたのは 「ほのぼの みんなのえほん教室?」  
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