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職業病と言っていたのはこういうことだったのかと思い出す。
十人ほどの幼児をまとめるのは大変そうだ。
音に強弱をつけ、時には身振り手振りをしながら分かりやすく表現する。
聞きやすい発音に心地よい声音。
折角仲間に入れてもらったのに、私は子供たちよりも集中力がないようだ。
くまさんのおつかいの行方よりも、その読み手の方が気になって仕方ない。
ページをまくる彼の手を見つめる。
(名前、覚えててくれたんだ)
太陽の光が降り注ぐ、心地よい空間で、子供たちの輪から少し離れた場所で足を崩して座りながら、そんなことをいつまでも考えていた。
あの日の夜、ただの親切な人と出逢っただけの思い出にすればそれで終わりだったのだろう。
そしたらあんなに苦しむことも、全てが終わるあの夜を迎えることもきっとなかった。
だけど恋とは、始まってから気づくものだから。
運命とは、こういうことだから。
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