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「じゃあ探しておくね。なら樹のオススメはある?活字苦手な私にも読めるもの」
試しに聞いてみた。少しだけ読書に興味が湧いてきた。
「う~ん、そうだな。先にあらすじを知っているものっていうものもいいかもね」
「え?」
あらすじを知っている本なんてピンとくるものなどなかったが、指差された受付の前に作られたコーナーを見て納得する。
“世界名作コーナー”
随分軽くなったカートを引きながら並んでそこまで来ると、なるほどそこには国語や社会科の授業で聞き覚えのある作者が並んでいた。
夏目漱石 太宰治 紫式部
ドストエフスキー シェイクスピア
時代も国もバラバラだが、内容はともかくどれも知った名前とタイトルばかりだ。
「たしかに有名だけど詳しくは知らないな。わかりやすいのある?あんまり難しくて哲学的なものって苦手」
「え~…っと。じゃあこれはどうかな」
そう言うと樹は一冊の本を手に取った。
「ロミオとジュリエット?」
「恋愛ものが好きなんでしょ?これはわかりすいよ」
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