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文庫本サイズの表紙には物語をイメージしたようなモノクロの絵と作者のウィリアム・シェイクスピア、その下に日本人の訳者の名前が書かれている。
ペラペラとまくると普通の小説との違いがすぐにわかった。
「これカギカッコだけなんだね」
「そうそう。戯曲だからね。演じるための台詞なんだよ」
「へ~台本てことね」
文字を追っていくと昔らしい言葉遣いと芝居らしくやや大袈裟な言い回しが目についた。
「ふーん。ロミジュリかぁ。映画にもあるよね、見たことないけど」
「いや、略すなよ。古典だぞ。シェイクスピアが泣く。内容ちゃんと知ってる?」
心配顔で覗き込まれる。勉強が出来ない子だと思われただろうか。
「し…知ってるよ。敵同士の家の主人公が恋をするんでしょ。“おぉロミオあなたはどうしてロミオなの”だよね?」
芝居らしくしようとすると棒読みになった。だけどその一節を思い出せただけで満足だ。
「ま、一番有名な台詞だな」
「でも意味が分からないよ。これってやっぱり難しい意味?哲学的なもの?」
「いや、全然。簡単なことだよ。現代人でも、俺たちにも分かる意味」
そう言われても、台詞の前後の内容を知らない私は首をひねった。
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