息苦しい日常

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今日も退屈でなにも期待できないような一日が始まる。 いつもの時間になり、携帯のアラームが鳴り始めた。 好きな曲を設定したのに、アラームにして毎朝起こされるとなんだか好きの程度が低くなる気がする。 そんなことを寝起きの頭で考えながらベッドから起き上がると、朝の光がカーテンの隙間から漏れてきて目を細める。 また夏が来た。 毎日、日差しは強くなり、最高気温を更新していく。 半そでブラウスと膝上に上げたスカートを着込めば制服姿の私の完成。 気温や天気は変化しても、私は昨日となにも変わりがない。 身支度を整えてようやくリビングに顔を出す。 一年前まであった、目玉焼きを焼くジュウジュウとした音や、コーヒーの匂い、トーストの焦げた匂いなどはしない。 ただ無機質に朝を迎えた部屋がそこにある。
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