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“おぉロミオ、あなたはどうしてロミオなの?私の仇敵はただあなたの名前だけ。
どうかそのお名前をお捨てください!”
~~~♪♪
1時間というのはすごく集中していると速かった。
静かな館内に落ち着いた閉館の合図らしい、音楽が流れ始める。
時計を見ると5時の10分前だった。静かだった人々が急にガサゴソと動き始める。
私も席を立つと、少し列を作った受付に並び、1冊だけ貸出しの手続きをしてもらった。
樹との約束があるので、どうしようかと悩んでいると、他の職員さんに丁寧に促され、正面玄関まで来てしまった。
借りた本など、重たそうな荷物を抱えながら出口へ向かう人たちを見送っていると、樹がこちらに向かってきた。
「はい、閉館の時刻ですよ。また来てくださいね」
子供にも大人にも同じように柔らかく対応する。
思わず話しかけるのを躊躇っていると、近寄り小声で
「ごめん。裏に回ってくれる?ベンチがあるからそこにいて」
と言われた。
頷くと樹本人に退館を迫られ、他の人と同じように外に出された。
ガラスの扉の鍵を閉めながら「あっち」と右の方を指しながら口をパクパクしたので私はそちらに歩き出してみた。
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