息苦しい日常

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私はいつもの通りに食パンを取り出すとそのままジャムを塗る。焼くのが面倒くさいし、早く家を出たいから、簡単に済ませたいのだ。 ポットのお湯を確認したところでスリッパの音が聞こえてきた。 「おはよう、美桜」 「おはよう、ママ」 化粧っけはないものの、パジャマから着替えて髪を整えた母が入ってくる。 「ごめんね。今日も朝ごはん作れなかったわ。お弁当も…」 「いいよ。朝は食欲ないし、昼は買うから心配しないで」 インスタントのコーヒーにお湯を注ぎ、パンを食べながら答える。 母に朝食の用意などかなり前から期待などしていない。 たまに調子が良くて、してくれる時もあるが、それはかなり貴重なこととなってしまった。 「はい、コーヒー」 母の席にカップを置く。 そこに腰かけると、ため息なのか熱を冷ますためなのか、息を一つ吐き出す。 それを見て小さくなったな、と思う。
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