招かれた客

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思った通り、館は奥行きもあり中も相当広い。 ホールは吹き抜けになっていて、高い天井には大きなステンドグラスがはめ込まれている。 汚れ一つない真っ赤な絨毯は、靴ごしでもわかるくらい質のいい物だ。 そこかしこにバランスよく女性の像や鉢植えが置かれており、それはまるで美術館のように照らされ展示されている。 そう、個人の館というより、美術館に近いんだ。 外の蒸し暑さも、館の中では快適な温度に調整されているし。 ぼんやり調度品を眺めながら、人形の後を追っていたら、黒い扉の前で中にはいるよう促された。 ここであの紳士が待っているのだろう。 「すいませーん、俺・・・」 声をかけながらゆっくりと扉を開く。 「やあ、よく来てくれたね!」
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