107人が本棚に入れています
本棚に追加
思った通り、館は奥行きもあり中も相当広い。
ホールは吹き抜けになっていて、高い天井には大きなステンドグラスがはめ込まれている。
汚れ一つない真っ赤な絨毯は、靴ごしでもわかるくらい質のいい物だ。
そこかしこにバランスよく女性の像や鉢植えが置かれており、それはまるで美術館のように照らされ展示されている。
そう、個人の館というより、美術館に近いんだ。
外の蒸し暑さも、館の中では快適な温度に調整されているし。
ぼんやり調度品を眺めながら、人形の後を追っていたら、黒い扉の前で中にはいるよう促された。
ここであの紳士が待っているのだろう。
「すいませーん、俺・・・」
声をかけながらゆっくりと扉を開く。
「やあ、よく来てくれたね!」
最初のコメントを投稿しよう!