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中島が店へと入っていった。
…とくに物音はしない。
カツオの良心がうずく。あの駄菓子屋とは長い付き合いなんだ。お店をやってるおばあちゃんはとても優しい人なんだ。
でもどうだ。ガムの一つや二つ。あんなもの、10円以下の価値じゃないか。十円玉一つ放り出してまで噛みたいもんじゃあない。
良心との葛藤に耐えつつカツオは中島の帰還を待つ。
…出て来た。中島が店から出てきた。
「くっくっくっくっ………ふははははは」
中島は必死に笑いをこらえようとしている。しかし顔はにやつき、ひきつっている。
「中島‼うまく…いったのか…?」
「ふっ。朝飯前よ」
そう言い中島はポケットからチロルチョコを取り出した。
2つ。
「やったのか…ついにやったのか…」
チロルチョコ、2つ。
「楽勝だったぜ磯野。これで僕は一人前の男さ」
「くそっ❗僕はまだチロルチョコを万引きしていない❗子供のままだ❗おい中島、僕も男になりたいよ」
「あの店のチロルチョコだから僕は1人で成功したんだ。これを見ろ」
中島は はらまき から一冊のノートを取り出した。
「これは…?」
「必勝法が書かれている極秘文書さ。磯野、君にこれをゆずるよ。早く大人になろうぜ」
「ありがとう中島」
「僕はもう帰るよ。こんなハザード地帯に長居は無用。さぁ磯野、行くんだ」
「…おう」
じゃぁな と言い中島は立ち去った。
チロルチョコはわけてくれなかった。
カツオは渡された一冊のノートの表紙を見た。
黒地に白いペンで何か書かれている。読めない。
……まさか、デスノート…⁉
カツオは震える手で表紙を開いた。
∴◎∧∂Θυξξξ
読めない。英語か?じゃなければこれはただの落書きだ。字の書けない子供が落書きをしたノートだ。いったいこれは何なんだ…
パラパラとノートをめくっていくと、落書き以外の、読める字が書かれているページに達した。
カツオは舌打ちした。
「ちっ。そうゆうことか」
ノートの最後にはこう書かれていた。
ばぁぶぅ
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