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彼の身体は眠っている時、呼吸の仕方を忘れる事が度々あった。
息苦しい。
現実の様な夢の中で、石島は呼吸の仕方を思い出そうと必死にもがいていた。
いつもの部屋。ベッド。時計。
仕事場。上司…。彼の日常を取り巻く全てが苦しむ彼を遠巻きに見ていた。
そこで、目が覚めた。
「また、いつもの発作か…」
石島はベッドで荒い息をしながら声には出さずに呟いた。
こういうときは大人しくしているに限る。
ベッドから起きるのが億劫だった。
発作の為の薬はあるが、そんなものが気休めにしかならない事を石島は知っていた。
時計を見る。時刻は午後零時を過ぎていた。
「仕事が休みで良かった…。」
石島は息苦しさを忘れようと、必死にまどろみの中へ落ちようと目を閉じた。
こんな日々がもう、二年以上続いていた。
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